建物のメンテナンスが素人にもできたなら・・・

建物を作る時に、メンテナンスの事を考え抜かれてつくるという方法は、大量消費社会の時にはありませんでした。

建設時のコストを抑えることに主眼をおいただけでは、建てた後に長く保つことも難しい。例えば、表面に薄い塩ビシートで作られただけの複合フローリング。例えば、大半の建物に採用されているビニルクロス。

これらは、初めはきれいなのであるけれど、経年変化を楽しむことが不可能な上、表面を削ってきれいにしたりすることが不可能なのは、誰もが理解できると思います。

 

例えば、無垢のフローリングにすれば、汚れや傷も、削れば復元されます。しかも何度でも。壁なら、どうしましょう。塗装にすれば、その上から何度でも塗り替えをすればよいでしょう。木の壁であれば、尚いいですね。

 

さて、メンテナンスは、自分の事だけでもないと思います。

メンテナンスに苦しんでいる隣人が居たとしたのなら、一緒に手伝って直してあげる。1人で直すより、隣人たちみんなで直し合えたら、すごく楽です。というか、楽しいし、人間関係を構築することができます。そんな社会になって欲しい。

 

でも、まだまだ、多くの日本人は、資本主義の中、競争する事を強いられています。

 

助け合う社会をつくるには、まず、自分の家の簡単なメンテナンスをできるようになることからなのかもしれません。

 

今、工事中のクライアントさんは、非常にメンテナンスや設備更新に興味のある方です。

施工の方法などもできることと難しいことを少しずつ理解されている感じで、それが私としては、とてもうれしい。

 

私が学生だった頃は、建築の主題が不在でした。何を目指したらよいのだろうと、悩む日々でしたが、現代の建築の世界いや社会自体において、やるべき事が明確になってきているように思います。人々が助け合いながら、大変な仕事を成し遂げる。白川郷の茅葺屋根をふき替えする姿はとても美しい人間の営みだと思いませんか。

 

人口減少の時代は、競争ではなく、助け合わなくては・・・本当の意味での豊かさは得られませんね。